がんサバイバーになって分かった「病はギフト」の本当の意味

ギフト 乳がん

こんにちは、naocoです。
2016年9月に乳がんの告知を受け、抗がん剤治療、手術、ホルモン治療(現在も継続
中)を経て、現在がんサバイバーとしての道を歩んでいる訳ですが、治療中は「病はギフ
ト」などとは到底考えることが出来ませんでした。
しかし、今は「がんになって良かった」と心から思えるのです。
治療時との気持ちの違いや現在の心境に至った経緯について時系列で考えてみたいと思い
ます。

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治療時の気持ち

がんの告知は、取り乱したり泣いたりすることは無く冷静に受け止めることが出来ました。
しかし、実はそれは冷静に受け止めていたわけではなく、頭の整理が追い付かず唖然とし
ていたという感じに近いのではないかと思います。

告知を受けると、ベルトコンベアに乗せられているように治療がおこなわれていきます。
治療のリズムに慣れてくると、
「人生終わったな」「絶対にあきらめない」「とにかく怖い」「なんでがんなんかに…」
などと、今度はジェットコースターに乗り換えたように、感情は上下し、ブレにブレ、
収拾がつかない状態でただただ悶々と暗い日々を過ごしました。

化学療法後半になると、ストレスでかすかに聞こえる程度の声しか出せなくなるなど、
酷く落ち込んでいました。

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治療中の落ち込み

では、がんになると何故こんなにも落ち込んでしまうのか。

それは死生観の欠如が起因していたと思います。

人間は死亡率が100%であるにも関わらず、当時46歳の私は、それまで目立った病
気や事故を経験したことが無い健康に恵まれた人生を送っていた為、“死”が自分の目前
に降りかかってくるものだとはリアル感をもって考えられていなかったですし、その覚悟
も全く出来ていなかったのです。


災害や戦争の映像や話を見聞きして、「命を大切に、今日を精一杯生きる」ということを
頭では分かっているつもりだったのですが、実は何も理解出来ていなかったのではなかっ
たか、と今では思います。
だから、予定外の事態に怯え、気持ちの持って行き場を失っていたのだと思います。

新たな死生観を確立するためには、一度、今直面しているがんという事実を受け入れ、死
を許容しなければならないということが心の底では分かっていた為、「受け入れるという
事はまるでがんに降参でもしなければならないみたいだ」と思い、どうしてもそれが出来
ずに足踏みを繰り返していたのだと思います。

また治療当時は日々の生活をこなしていくだけでも相当のストレスがかかり、体力も使い
ます。自分の根幹に関わる概念を変容させる余裕など持てるはずも無かったと思います。

治療がひと段落すると

抗がん剤治療、手術が終わると、とりあえず第一目標を達成できたという思いで、気持ち
にも多少余裕が出てきました。
しかし、人と比べて私は身体の回復能力が劣っているのか、術後の治りが遅くリハビリの
スタートも出遅れた為、今度は身体の痛みと闘うので精一杯な日々でした。


術後2か月ほどすると、それまで頻繁だった通院を卒業し、経過観察と薬の処方の為に2
か月に一度程度の再診に切り替わります。
その切り替わりの時期に感じたのは、「心細さ」でした。
抗がん剤の治療に病院へ向かうのがあんなに憂鬱だったのに、いざ気軽に行けなくなると
思うと「これからは一人で闘わなければいけないんだ」という思いで不安で一杯になりま
した。

私はクリニックでアットホームな雰囲気の中治療を受けていましたので、治療仲間や医師
や看護師の方々との交流が、がんを隠さずに本音で話せる憩いの場になっていました。
主治医に「一人で心細い」と打ち明けると、「いつでもおしゃべりに来ればいい」と言っ
て頂けました。本当に有難かったです。

が、その言葉をお守り代わりにして、予約以外の日に赴くことは以後ありませんでした。

手とハート

「気づき」という名の贈り物

私の感覚では経過観察の段階になると、サバイバーという言葉がしっくりとくる気がしま
した。活動の幅を徐々に元に戻すことが出来るようになってくるところまで治癒が進みま
す。その段階でようやく落ち着いて物事を考えられるようになりました。

がん友の転移が確定したり、乳がん以外のがんで知人が急逝したりしたするなど、どう逆
立ちしても「がん」そのものを受け入れることは出来ませんでした。

が、がんになった「自分」を受け入れ、人間は生まれた時から死に向かって生きていて、
自分も例外ではないという紛れもない事実を受け止めることによって、ようやく新たに自
身の死生観を書き換える事が出来ました。

いつか訪れる未来の「死」を受け入れることによって、「今」を大切にすることの意味が
ようやく分かったのです。
過去を振り返ることも、未来に恐れおののくこともせずに、現在に焦点を絞って「今」を
生きることを。

すると、不思議なことに不安が払しょくされ、心がスッと軽くなり、「楽しい」、
「感謝」というような言葉の溢れるマインドの中で生きていけるようになったのです。
”ああ、これが「病はギフト」と言われている「気づき」という贈り物なんだ”と実感し
ました。

実は治療中は、サバイバーの方々が口々に
「がんになって良かった」「社会貢献していきたい」と言ってる言葉の本質が正直全く
分からなかったのです。
しかし、このマインドの変化によって、自然とその気持ちが自分の中にも芽生え始めた
のです。

「喜怒哀楽」の「怒」と「哀」を手放し「喜」と「楽」だけを残した世界で生きてい
けるようになりました。

サバイバーと「病はギフト」

現在日本人の2人に1人が生涯の中でがんになり、3人に1人ががんで死亡すると言われ
ています。また、医療技術の発展により、がん患者の半数以上が10年以上生存できる世
の中になりました。

この構図は、すなわちがんサバイバーの増加を意味します。
がんは残念ながら、完治する病ではありません。5年、10年を一区切りに治療は中断さ
れますが、それはあくまで寛解の状態であり、完治ではありません。
サバイバーは心の奥に常に「再発・転移」の心配を宿して、様々な自分にしか分からない
後遺症や苦しみと日々闘いながら、しかし受け取ったギフトを世の中に還元すべく笑顔で
頑張っている方々がほとんどです。

それに比べて、日本ではがんサバイバーシップの概念がまだまだ遅れています。
サバイバーシップとはがんサバイバーが以後生活していく上での社会的認識、支援、研究
などのサポート体制です。

今後の発展に期待しながら、自分もそれに寄与できる人間にならなければと思います。
憎きがんからもらった唯一のギフトを社会貢献に活用して、世界がより良い方向に循環し
ていけるように、社会全体で支えて取り組んでいける世の中になると良いな、と思います。

乳がん
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